CMSが消えた?

You are here

マジック・クアドラントとは、大手ITコンサルティング会社のGartnerが発表しているもので、さまざまな特定の市場において競合している各社の相対的な位置関係を、4つの象限(クアドラント)で視覚的に表し、詳細な解説を加えたレポートです。

象限とは、折れ線グラフや散布図で使う横軸と縦軸で分けた4つの平面で、マジック・クアドラントでは横軸に「ビジョンの完全性」つまり、ビジョンが明確で焦点が定まっているかどうかを、縦軸に「実行能力」つまり、業績を上げているかどうかなどを示しています。4象限のうち、右上が「リーダー」であって、その時点で明確なビジョンを持ち、かつそれを実行できている企業がここに入ります。

ちなみにAcquiaは長年、Webコンテンツマネジメントのマジック・クアドラントに取り上げられ続けていて、以前は縦軸も横軸もほぼ中央、つまり、期待は持てるけれどもビジョンの完全性や実行能力は未知数といった評価を受けていました。しかし、Acquiaはここ数年、順調に「右の上」へ向かって歩みを進め、既存の超大手と肩を並べる「リーダー」の位置を占めるようになっています。

つまり、Gartnerは、Webコンテンツマネジメント(WCM)市場においてAcquiaを極めて高く評価していたということになります。ところが、そのGartnerがそもそも、WCMマジック・クアドラントという分類自体を消してしまったのです。

しかし、Acquiaは日本法人を設立して顧客基盤を築いたり、世界各国でも顧客を増やすなどその事業は好調のようです。WCMは、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とほぼ同義ですが日本でも世界でもCMSは広く使われているばかりか、普及がどんどん進んでいます。

それなのにGartnerがWCMを消したのは、昨年から新たに追加したDXPというカテゴリーがWCMの現在と将来を包含しているためです。

DXP(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)のマジック・クアドラントには、Acquiaを始めとして以前からWCMの常連だった企業が名を連ねています。

かつては、テレビや新聞、新聞、ラジオや看板、ダイレクトメールやチラシ、ポスターなどの旧来の媒体にWebや電子メールが加わって、その影響力をどんどん増してきたわけですが、特にスマートフォン、タブレットの登場や、位置情報、顔認識などで高度化したデジタルサイネージ、さらにはウェアラブル・デバイスの普及など、状況はさらに変化してきています。
今やコンテンツが消費される場としてWebサイトの位置づけは相対的に低くなっています。また、単に顧客に提示するコンテンツを管理(マネジメント)するだけでは不十分で、顧客の総合的なデジタル体験を提供する戦略と実践が求められるようになりました。単純に、メールや広告を使って顧客をWebサイトまで導いて、見せたいコンテンツを見せるといったアプローチや、Webでどのような体験を提供できるかといったアプローチはすでに時代おくれになってきています。

DXP(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)は、さまざまなデジタル技術を介して提供される顧客体験を、データサイエンスや顧客インサイトなどに裏打ちされたコンテクスト(文脈や前後関係)ベースの体験として提供するための複数の技術の集合体が使われるようになっています。

その意味で、コンテンツとプレゼンテーション(=顧客との接点)を分離して、同じコンテンツをWebブラウザだけでなくスマホのアプリやデジタルサイネージ、その他にシームレスに提供可能な「ヘッドレス」のアーキテクチャーを持つDrupal 8を土台にしながら、LiftやJourneyなど顧客を知り、顧客の体験を簡単にデザインできるようになっているAcquiaの製品群は、WCMというカテゴリーには収まりきらず、DXPと呼ばれるのに相応しいと言えそうです。
Webだけ、あるいはWeb中心の考え方から脱却できないマーケターは時代遅れということになってしまうのでしょう。

 
<参考情報>